遷移金属種の中でも、ユビキタス元素種である鉄や銅は、地球上に豊富に存在し、安価で、毒性が極めて低く身近に存在する遷移金属である。近年、社会的関心が特に高まる元素戦略の観点より、鉄や銅などのユビキタス金属種を有機分子変換工程における触媒金属種として有効活用することで、安全性、環境調和性、元素戦略性を兼ね備えた、未来に亘り持続可能な分子変換工程の開発が期待されています。
我々は、これまでに両親媒性ポリマー担持ナノ鉄触媒を新たに開発し、触媒カートリッジ化・フローリアクタに適用することで、実効性や実践性の高いオレフィン類のフロー水素化を実現しています。
また、「molecular convolution法」による高機能ポリマー銅触媒の開発や高エナンチオ選択的な分子変換を達成する新規不斉銅触媒システムの開発に関しても成果を挙げています。
参考文献:
Green Chem. . 2013, 15, 2141,
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 9285;
Org. Lett., 2012, 14, 194;
Org. Lett., 2014, 16, 5866,
Synlett., 2015, 26, 1475,