水中での触媒的有機分子変換

水」は最も身近で安全・無毒な理想的な媒体です。しかし本来「油」である有機分子を「水」中で反応させることは原理的な矛盾を孕んでおり、水中での有機分子変換工程は極めて限定されたものでした。

私たちは水にも有機物にも馴染む両親媒性の高分子マトリクスを反応場とし、そのマトリクスに遷移金属触媒を固定化し、様々な触媒的有機分子変換の水中実施を実現しています。中でも水中での高分子固定化錯体触媒による不斉触媒(99% eeを達成)は大きな成果です。

また、新たな錯体触媒の固定化手法「molecular convolution法」を開発し、更にマイクロ流路内での膜触媒の創製と超高速分子変換マイクロデバイスの開発へと展開しつつあります。

水中でのパラジウム錯体触媒反応

参考文献:
J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 2919,
Top. Curr. Chem. 2004, 242, 77,
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 15994,
Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 9437,
Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 2708,
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 3190,
J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 9285

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