基質を流路に流しこむことで、化学反応を行うフロー反応は、フラスコ反応よりも、高効率反応を実現し、高い反応再現性を示すのみならず、新たに大きな反応容器を用意することなくスケールアップ反応ができるなど、優れた特性を示すことから、最近、特に注目を集めています。
我々は、これまでに新たな錯体触媒の固定化手法である「molecular convolution法」を開発し、マイクロ流路に膜触媒を調製させることに成功しています。この膜触媒を有するマイクロデバイスに反応基質を流し込むことで、反応が滞留時間わずか数秒で完結する超高速反応を実現しております。
また、これまでに我々の元で開発している両親媒性ポリマー担持ナノプラチナ触媒をカラムに充填し、装備させたフローリアクタを用いたアルコール類のフロー酸素酸化反応やオレフィン、ニトロベンゼン、アルデヒドのフロー水素化反応も実現しています。
現在は、様々な遷移金属反応がフロー反応システムにおいて執り行えるように、新たな膜触媒を有するマイクロデバイスやポリマー担持触媒の開発を精力的に取り組んでいます。
参考文献:
RSC Adv. 2014, 4, 36864;
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