研究内容

Research

1.生体分子機械に学ぶ English

私たちは生体分子機械の作動原理を解明します。生体分子機械の代表例は、入力エネルギーを一方向性の運動に変換する分子モーター(モータータンパク質)です。私たちはリニア分子モーター[1, 2, 3]や回転分子モーター[4, 5]を研究しています。例えば、バイオエタノールの原料となる結晶性多糖を効率的に分解するセルラーゼキチナーゼは、結晶を固体/液体界面で分解しながら一方向に運動するリニア分子モーターです。駆動力はATPではなくレールである多糖の加水分解エネルギーで、ミオシン等の従来のリニア分子モーターとは作動原理が全く異なります。また回転分子モーターのV-ATPaseは、力学的回転を介してATPの化学エネルギーをイオンの電気化学ポテンシャルに変換することができます。 これは人工分子機械(2016年ノーベル化学賞)が未だ達成できていない高度な機能です。

 

[1] Nakamura A, et al., J. Biol. Chem. 2016 291: 22404-22413 (表紙

[2] Isojima H, Iino R, et al., Nat. Chem. Biol. 2016 12: 290-297

[3] Shibafuji Y, et al., J. Biol. Chem. 2014 289: 14056-14065

[4] Ueno H, Minagawa Y, et al., J. Biol. Chem. 2014 289: 31212-31223

[5] Minagawa Y, Ueno H, et al., J. Biol. Chem. 2013 288: 32700-32707 (表紙

2.生体分子機械を創る

私たちは生体分子機械を自在に創る分子機械設計学、および創った分子機械で生き物を制御する生体制御学を確立します。生体分子機械には基本構造がよく似たものが存在します。AAA+ファミリータンパク質がその代表例で[6]、F-ATPase、V-ATPaseもこのファミリーに属します[7, 8]。特筆すべきは、似た構造なのに機能は多彩な点です。計算科学による合理設計や進化分子工学による網羅的変異体作製を駆使し、V-ATPase、セルラーゼ、キチナーゼなどを積極的に改造して多彩な機能を発揮する設計原理を理解します[9, 10]。

 

[6] Iino R, Noji H. Curr. Opin. Struct. Biol. 2013 23: 229-234

[7] Iino R, Noji H. IUBMB Life. 2013 65: 238-246

[8] Iino R, et al., Curr. Opin. Struct. Biol. 2015. 31: 49-56

[9] Baba M, et al., PNAS 2016 113: 11214-11219

[10] Yukawa A, et al., Biochemistry 2015 54: 472–480

 

3.生体分子機械の機能を調べる、形を調べる

私たちは1分子計測を生体分子機械の機能解析に駆使します[11, 12]。金ナノプローブを用いた高時空間分解能1分子計測、[13]、光学顕微鏡とマイクロデバイスの融合[14]、超解像蛍光顕微鏡と高速原子間力顕微鏡の複合機[15]などの開発を行っています。また、生体分子機械の形を調べるX線結晶構造解析も我々自身で行っています。

 

[11] Watanabe R, et al., Nat. Commun. 2013 4: 1631

[12] Uchihashi T, Iino R, et al., Science 2011 333: 755-758 (Natureの紹介記事)

[13] Enoki S, et al., Anal. Chem. 2015 87: 2079-2086

[14] Kim SH, et al., Lab Chip 2012 12: 4986-4991

[15] Fukuda S, et al., Rev. Sci. Instrum. 2013 84: 073706

4.共同研究を積極的に推進する

異分野の優れた研究者の方々との議論や交流は刺激になり楽しいです!

【共同研究者と研究課題

内橋貴之 教授 (金沢大) 複合計測、セルラーゼ、キチナーゼ

五十嵐圭日子 准教授 (東京大) セルラーゼ、キチナーゼ

村田武士 教授 (千葉大)  V-ATPase

上野博史 助教 (東京大) F-ATPase、V-ATPase

村田和義 准教授 (生理研)  クライオ電顕単粒子解析

古賀信康 准教授(分子研) 分子モーターの合理設計

富重道雄 准教授 (東京大) キネシン

横川隆司 准教授 (京都大) ナノデバイス、キネシン

西野邦彦 教授 (大阪大) 1細菌アッセイ 

榊原昇一 係長 (大阪大) マイクロデバイス

渡辺洋平 准教授 (甲南大) ClpB

野地博行 教授 (東京大) F-ATPase、マイクロデバイス

出口茂 センター長, グループリーダー (JAMSTEC) カイメン

島袋勝弥 准教授 (宇部高専) 回虫精子

大森賢治 教授(分子研) 1原子顕微鏡

【尊敬する研究者】

林重彦 教授 (京都大)

池口満徳 准教授 (横浜市大)

竹内正之 グループリーダー (物材機構)

古川修平 准教授 (京都大)

正岡重行 准教授 (分子研)

須藤雄気 教授 (岡山大)

上野隆史 教授(東工大)

金原数 教授(東工大)