第19回CIMoSセミナー
分子夾雑系でのタンパク質有機化学
Protein Organic Chemistry under multi-molecular crowding biosystem
一般に有機化学反応では、精製された出発原料を高純度の溶媒中で混合し、狙った分子を高収率で得る。この際、不純物は(時には水分や酸素も)反応を阻害するだけでなく、副生成物を生む厄介ものである。一方で、合成された分子は様々な不純物が混在する分子夾雑系でその効果を発揮することが求められる。では、そのような夾雑系での物質変換(反応)を化学の精度で、設計・制御できないだろうか?我々は、究極の分子夾雑系である生細胞での有機化学に取り組んでいる。具体的な標的を生命現象の中心を担う蛋白質と定め、そのイメージング、網羅解析、機能制御に資する化学的アプローチの構築を目指している。このような試みは基礎科学として面白いだけでなく、時にはbiologistsとの交流を深めmolecular technology-drivenの新しいサイエンスが境界領域から産まれることを期待している。本講演では、我々の最近の試みを中心に紹介したい。
参考文献
(a) Takaoka. Y.; Ojida, A.; Hamachi, I. Angew. Chem. Int Ed., 52, (review) 4088-4106 (2013). (b) Hamachi, I.; Nagase, T.; Shinkai, S. J. Am. Chem. Soc., 122, 12065-12067 (2000). (c) Tsukiji, S.; Miyagawa, M.; Takaoka, Y.; Tamura, T.; Hamachi, I. Nature ChemBio., 5, 341-343 (2009) (d) Takaoka, Y.; Sakamoto, T.; Hamachi, I. et.al., Nature Chem., 1, 557-561 (2009). (e) Yamaura, K.; Kiyonaka, S.; Hamachi, I. et.al., Nature ChemBio., 12, 822-830 (2016). (f) Miki, T.; Hamachi, I. et.al., Nature Methods, 13, 931-937 (2016). (g) Kiyonaka, S.; Kubota, R.; Hamachi, I. et.al., Nature Chem., 8, 958-967 (2016). (h) Kiyonaka, S.; Hamachi, I. et.al., Nature Commun., 8, 14850 (2017). (i) Tamura, T.; Hamachi, I. et.al., Nature Commun., 9, 1870 (2018). (j) Kubota, R.; Hamachi, I. et.al., ACS CentSci., 8, ASAP (2018).
日時 | 2019年1月10日(金) 15:00~16:00 |
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場所 | 分子科学研究所 研究棟 201号室 |
題目 | 分子夾雑系でのタンパク質有機化学 Protein Organic Chemistry under multi-molecular crowding biosystem |
講演者 | 京都大学 浜地 格 教授 http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/hamachi-lab/index.php?members%2Fhamachi |