大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所 協奏分子システム研究センター CIMoS

CIMoSについて

センター概要

大学共同利用機関である分子科学研究所は、35年以上前の設立時より、有機半導体や炭素材料を含む広範な分子性の新規物質の研究に取り組み、共同利用・共同研究を通してナノサイエンスの発展に寄与してきました。今や多様な分子性機能物質が生み出され、それらの構造や物性だけでなく反応性までもが自在に制御されつつあります。ナノサイエンスの研究手法は物質科学分野にとどまらず生命科学分野においても顕著で、重要な生命現象について分子レベルでの詳細な基礎研究が行われてきました。

協奏分子システム研究センターでは、ナノサイエンスに関する技術要素や研究資産をベースに、「分子それぞれの性質が高次構造を持つ分子集団系の卓越した機能発現にどう結びつくのか」という学問横断的な重要課題に挑戦します。物質科学や生命科学に限らず、これまでは複雑な階層構造を持つ対象を各階層に分けて観察し、結果についての解釈や理論も階層ごとに固有なものとなっていました。これは、我々自身が物事を調べ易い大きさや次元に無意識(さもなくば意図的)に切り分けていることに他なりません。

理解を深める一つの手段は、多重の階層を越えて機能している分子システムの知恵に学ぶことです。システムの構成要素である分子について理解を深めるのに加えて、それぞれの分子がどのようなネットワークや制御を介して混然一体となり、階層構造へと繋がっていくのかを解明する必要があります。分子に秘められた固有の機能を、システムはときには数ケタもことなる時空間スケールへと押し上げて突如発現させ、またときにはマスクするように作用することもあるでしょう。このような制御を自律的にかつ僅かなエネルギーで行う分子システムの存在に驚きを禁じえません。「柔軟かつ堅牢で卓越した機能をもつ分子システム」の階層構造が理解されれば、これは大きな技術革新となり、新規システムを創成して生命機能や分子機能を発現させることも夢ではなくなります。

このような社会的かつ学問的要請に応えるため、各階層を究めた研究者を、微細なナノスケールの分子科学からタンパク質や細胞のようなマクロで不均一な分子科学まで幅広く募り、「解析」、「創成」、「システム研究」をミッションとする3つの研究部門に配置しています。

階層分子システム解析研究部門

個々の分子の動態が分子間相互作用や複雑な制御ネットワークを介して多重の階層を貫き、分子集団としての卓越した機能へ繋がっていく仕組みを解明します。階層間の情報共有や制御は、より高次なシステムとしての振る舞いを決定する重要因子であると同時に、自己修復能や環境適応能といった卓越した機能の発現に必要不可欠な要素です。生命科学の分野であれば、生物時計などに散見する分子内および分子間フィードバック機構を解明するとともに、その知見に立脚した新たな協奏的分子システムの設計や構築に取り組みます。

機能分子システム創成研究部門

天然の分子系が持っている分子の知恵に学びつつ、そこで得られた概念を人工系に再構成することによって、原理の検証と新しいマテリアル創製が同時に可能となるはずです。そこで本部門では多数の分子が協奏的に機能発現することによって創発される物性や物質・エネルギー・情報の流れを構成論的アプローチによって探究します。

生体分子システム研究部門

生物が示す多彩な生命現象を分子レベルで解明するための研究を行います。とくに、糖鎖や金属錯体がタンパク質分子と相互作用する際のエネルギー変換、分子認識、情報伝達、機能制御及びそのための実験・理論的手法の開発に取り組みます。


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