第14回CIMoSセミナー
光合成と酸化還元酵素の新たな組み合わせによる光駆動物質生産系の設計
藻類などの光合成生物が生産するバイオ燃料は、環境負荷の小さい再生可能エネルギーとして注目されている。藻類は自己増殖によって広大な面積に展開することが容易であり、培養に高価な設備を必要としないという利点を持ち、優秀な生産者と考えられるが、実用化にはコストやエネルギー収支の課題をクリアしなければならない。そのため、光変換効率の最大化と、超低コスト大規模培養技術の確立が必要と考えられる。我々は、水素1やギ酸2、多糖類3、テルペノイド系炭化水素4などの光合成生産を目指し、人工的で強力な生産系を藻類内に構築することを目指している。また、培養技術に関しても、窒素固定能を有するシアノバクテリアを利用した野外低コスト培養を検討している。特に、細胞外マトリックスを形成することで、捕食動物やウイルスに対して高い抵抗性を獲得している株では、野外でも優良な生産性を示すことが明らかになってきている。本セミナーでは、主に、ヒドロゲナーゼと光合成反応中心(PSI)の組み合わせによる水素生産系と、ギ酸デヒドロゲナーゼとPSIを用いたギ酸生産系の設計について紹介したい。
Reference
1) Photochem. Photobiol. 82, 676-682 (2006), 2) PLOS ONE, 8, e71581 (2013); J. Photochem.Photobiol. A: Chemistry, 313, 154-162 (2015), 3) J. Biosci. Bioeng., 117, 531-538 (2014), 4) J. Biosci. Bioeng., 118, 20-28 (2014).
日時 | 2016年3月28日(月) 16:00~ |
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場所 | 分子科学研究所 研究棟 201号室 |
題目 | 光合成と酸化還元酵素の新たな組み合わせによる光駆動物質生産系の設計 Design for Photo-Chemical Conversion Systems Consisting of Photosystem I and Redox Enzymes |
講演者 | 伊原正喜 博士 信州大学農学部 http://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/profile/ja.jpkaWUyV.html |