大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所 協奏分子システム研究センター CIMoS

研究

第13回CIMoSセミナー
光合成システムの強光応答

第13回CIMoSセミナー<br>光合成システムの強光応答

光合成の光化学系IIは、光エネルギーを化学エネルギーに変換するタンパク質色素複合体である。この複合体はその性質とは裏腹に、光に対する感受性が高く、強光の下で容易に失活する。この現象は光阻害と呼ばれ、強光下における光合成生物の生育阻害の要因となっている。これまで光阻害のメカニズムに多くの関心が集まり、様々な仮説が立てられていた。中でも、活性酸素による光化学系IIの損傷を光阻害の原因と考える説が有力視されてきた。しかし、私たちは、光阻害を光損傷と修復の2つのプロセスに分けて解析することにより、活性酸素は光化学系IIに損傷を及ぼすのではなく、その修復を阻害することを見出した。この発見をもとに、"Two-step説"という新たな光損傷モデルを提唱している。また、活性酸素による修復阻害が、タンパク質合成系を構成する翻訳因子の酸化傷害と関連していることも見出した。本講演では、光阻害をめぐる論争や最近の展開について紹介する。

日時 2016年3月28日(月) 15:00~
場所 分子科学研究所 研究棟201号室
題目 光合成システムの強光応答
Response of photosynthetic machinery to strong light
講演者 西山佳孝 教授 埼玉大学大学院理工学研究科
http://park.saitama-u.ac.jp/~kankyo/nishiyama/pi.html

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