第4回 CIMoSセミナー
分子システムとしてみた人工細胞
要旨
我々はこの13 年間にわたり、階層性のある分子システムで人工細胞を構築するという研究を続けてきた。最近漸く、両親媒性分子が水中で自己集合化して形成するベシクルの内部でDNA の自己複製が進行し、その後、膜分子の前駆体を外水相から添加すると、内部でDNA が増幅したベシクルのみが優先的に前駆体を膜分子に変換して肥大し、新たに生成したベシクル内にもDNA が分配されるという人工細胞モデルが出来上がった。すなわち、人工細胞として最低限の要素を備えた自己増殖する分子システムが出来上がったことになる。講演ではそれらの成果を基に、最近の展開も含めて紹介する。
参考文献
[1] K. Kurihara, M. Tamura, K. Shohda, T. Toyota, K. Suzuki, and T. Sugawara, Self-reproduction of supramolecular giant vesicles combined with the amplification of encapsulated DNA, Nature Chemistry, 3 775-781 (2011), 菅原正、栗原顕輔、鈴木健太郎「人工細胞の夢ついに達成 ?! ―生命の起源に迫る第一歩」pp 43-49, 化学, 67 巻2 月号、化学同人(2012)
[2] J. W. Szostak, D. P. Bartel, P. L. Luisi, Synthesizing life. Nature 409, 387-390 (2001).
日時 | 2013年7月22日(月) 15時~ |
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場所 | 分子科学研究所 実験棟3階301号室 |
題目 | 分子システムとしてみた人工細胞 |
講演者 | 菅原 正 教授 (神奈川大学 理学部 化学科) |