第2回 CIMoSセミナー
ヒトゲノムDNAの不規則で柔軟な収納原理
要旨
全長2mにも及ぶヒトゲノムDNAは「人体の設計図」であり、 細胞の間期においては直径約十数ミクロンの「細胞核」に収納されている。 そして細胞が分裂する際、 わずか数十分のうちに長さ数ミクロンの46本の「分裂期染色体」に束ねられる。 生物学の教科書では, DNAがヒストンタンパク質に巻かれて「ヌクレオソーム」となり、 このヌクレオソーム線維が規則正しく束ねられて「クロマチン線維」と、 更なる階層構造をつくる様子が図示されている。 しかしながら、 最近の私たちのクライオ電子顕微鏡観察やSPring-8の放射光を用いた構造解析の結果、従来の階層構造モデルとは異なり、 分裂期染色体がヌクレオソーム線維の不規則な折り畳みで構成されていることが明らかになった。 また、 このような不規則な収納は細胞の間期においても存在していることを示した。 本稿ではゲノムDNAの収納原理について、 最近の私たちの知見を紹介したい。
日時 | 2013年5月15日(水)16:00 ~ |
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場所 | 分子科学研究所 実験棟3階 301号室 |
題目 | ヒトゲノムDNAの不規則で柔軟な収納原理 |
講演者 | 前島 一博 (国立遺伝学研究所 構造遺伝学研究センター 教授) |
対応者 | 秋山 修志 |