分子科学を含めた全ての学術研究は、研究者だけで進めていけるものではありません。実験装置の開発・製作や管理・維持、研究環境の整備など、様々なサポートがあって初めて先端的な研究を実現することができます。分子科学研究所では、技術推進部ならびに研究力強化戦略室という2つの組織によって、最先端の分子科学研究を行うための支援体制を構築しています。
分子科学研究所を支える技術者集団
分子科学研究所技術課は、2021年4月1日より、技術推進部に改組されました。1975年の研究所設立と同時に、技術分野での研究支援を目的として、文部省教室系技官が全国で初めて組織化された分子研技術課ですが、時代と共に、高い専門性を持つ職員が増えてきたことに伴い、事務組織と同じライン制での組織運営が馴染まなくなってきました。そこで、スタッフ制による所長直属の技術者組織に改組し、各附属施設をユニット化した上で、マネジメント役のユニット長を配置することにより、各個人のもつ高い専門的技術をより効率的に発揮し、研究者が研究しやすい環境を整備すると共に、研究に専念できるように技術支援する体制を構築し、再出発しています。
技術推進部は、以前の技術課と同様に所長直属の組織であり、技術職員を統轄する技術推進部長の下、光技術ユニット、装置開発ユニット、計算情報ユニット、機器分析ユニットの4つのユニット、及び学術支援担当職員により構成されます。
極端紫外光研究施設(UVSOR)ホームページ:https://www.uvsor.ims.ac.jp/
放射光およびレーザーに関する技術・技能を有する技術職員が所属し、極端紫外光研究施設(UVSOR)およびメゾスコピック計測研究センターで活躍しています。長年にわたり全国の研究者に放射光を用いた研究環境を提供し、物理・化学をはじめとしたさまざまな研究分野の発展に貢献しています。常に最先端であり続けるために、加速器、分光装置およびレーザー計測における新しい技術の習得に積極的に取り組んでいます。光源及び分光器(ビームライン)に関する各種技術開発も行っています。
共同利用研究者支援業務(中村、牧田、酒井、岡野、矢野、手島、近藤、湯澤、太田、清水)
UVSORには14本のビームライン(分光器)があります。得意とする波長領域・測定手法(吸収反射、光電子分光等)や試料の種類(固体、表面、気体、液体)によって分れており、幅広い需要に対応します。年間数百件の共同利用に対し、実験装置の使用方法の説明、維持・管理、調整を行い、技術開発にも力を入れています。
光源運転業務(林、太田、清水)
UVSORの保有する加速器群(線形加速器、ブースターシンクロトロン、電子蓄積リング)を運転し、観測系ビームラインにテラヘルツ(長波長)から軟X線(短波長)にわたる幅広い波長領域のシンクロトロン光(放射光)を供給します。共同利用のほか、マシンスタディを通して技術開発にも取り組んでいます。
光計測技術支援業務(岡野)
メゾスコピック計測研究センターにおける各種レーザー装置の使用・調整に関する所内外への技術支援を行うとともに、レーザーを用いた測定法・応用技術について開発を行っています。
ユニットスタッフ: ※連絡先は( )内の*を@ims.ac.jpに置き換えてご使用ください。
ユニット長:林 憲志(h-kenji*)主任技師:中村永研(eiken*)技師:林 憲志(h-kenji*)牧田誠二(makita*)岡野泰彬(yokano*)主任技術員:酒井雅弘(sakai*)矢野隆行(yano*)手島史綱(tetsu*)近藤直範(nkondo*)湯澤勇人(hayato*)技術員:太田紘志(ota*)清水康平(shimizu-k*)
装置開発室ホームページ:http://edcweb.ims.ac.jp/
メカトロニクス技術、エレクトロニクス技術、リソグラフィ技術に関する設備を有し、高度な技術・技能を有する技術者が所属しています。
研究所創設当初から、所内外の研究者と密接に連携し、独創的な研究を可能とする様々な実験装置の開発を手掛けてきました。将来の自然科学研究を支えるために、より先進的な技術の習得にも積極的に取り組んでいます。
装置開発ユニットはメカトロニクス技術、エレクトロニクス技術、リソグラフィ技術を有する技術職員が所属しています。自然科学研究の発展に質する実験機器の設計・製作に関連する依頼を受付けています。
メカトロニクス技術(近藤・宮崎)
分子の振る舞いなどを追求するために、実験装置が必要になります。真空・高温・極低温など様々な環境に対応する実験装置の設計・製図・製作から実験部品の加工を含め幅広く受付けています。
エレクトロニクス技術(豊田・松尾・木村)
実験データ取集に電子回路が必要になります。様々な信号を取り出 す電子回路の設計・製作・プログラミング・回路基板の加工から3D造形を含め幅広く受付けています。
リソグラフィ技術(高田・木村)
溶液合成にマイクロ流路、電子状態の確認にマイクロ端子が必要になります。様々な形状の流路、端子等を有するデバイスの設計・製作から測定・評価を含め幅広く受付けています。
ユニットスタッフ: ※連絡先は( )内の*を@ims.ac.jpに置き換えてご使用ください。
ユニット長:近藤聖彦(kondou*)主任技師:近藤聖彦(kondou*)豊田朋範 (tomonori*)主任技術員:松尾純一(jmatsuo*)高田紀子(takada*)技術員:木村幸代(s-kimura*)木村和典 (kkimura*)宮崎芳野(yoshino*)
計算科学研究センターホームページ:https://ccportal.ims.ac.jp
計算情報ユニットは、計算科学研究センターにあるスーパーコンピュータの管理運用や各種質問に対するヘルプデスクといった共同利用に関係する業務、所員のアカウント・端末の管理や所内LANの管理運用などの分子科学研究所ネットワーク業務、岡崎地区共通のネットワークや各種サービスに関する岡崎情報ネットワーク管理室業務を担当しています。
計算情報ユニットはスパコンを管理運用するところから始まりました。その後、インターネット時代となり、電子メールのアカウント管理やメールサーバーの管理、ウェブサーバーの管理、所内ネットワークの管理や学術情報ネットワークへの接続などが業務として加わりました。性善説に基づいた時代は終わり、コンピューターウイルスや不正アクセスへの対応も業務として加わりました。近年は内部からの情報流出の問題にも対応を求められており、年々業務範囲が広っています。
スパコンに関する業務
技術職員は運用やユーザーサポートを担当しています。運用では、アカウントの作成、グループの CPU 点数やディスク容量の設定といったところから、計算ジョブが順序良く効率的に実行可能なキューイングシステムの設計、CPU 課金システムやスパコン稼働状況モニターの作成などを行っています。また、科学技術アプリケーションのインストール作業や計算に関する質問の回答を研究経験のある技術職員が行っています。
アカウントと端末管理業務
主認証システムで申請されたアカウントの発行や端末の登録作業を行います。近年のセキュリティインシデントを受け、端末の登録には使用者が署名した同意書が必要となりました。分子研の身分を喪失しても連絡がない場合が多いため、年に 2 回ほどアカウント調査と端末調査を行っています。
ネットワーク管理業務
ネットワーク機器がすべて正常に稼働しているか常時監視しています。一見正常に見える場合でも問い合わせにより障害が発覚する場合もあり、様々な状況を調べることで障害箇所を特定します。機器の故障の際は修理の手配や可能であれば暫定処置を施します。
公開サーバー管理業務
DNS、LDAP、VPN といった基幹サーバーの管理運用だけでなく、分子科学研究所の公開サーバーの管理を一元的に行うことにしたことにより、研究者の負担を無くし、技術職員がセキュリティーを担保することが可能になりました。また、派生業務として研究会参加登録ページを作成するサービス等も提供しています。
所内ユーザー支援業務
「メールが読めない」「ネットワークに繋がらない」「セキュリティソフトウェアの更新の仕方が分からない」といった所内ユーザーからの質問に対応しています。
情報セキュリティインシデント対応業務
不審な通信が検出されると警告のメールが管理者に届き、技術職員はパソコンの使用者に確認を行います。インシデントの発生を抑えるため、情報セキュリティー研修会で技術職員がオンラインで説明を行います。万一インシデントが発生した際は上位の機関との対応にあたります。
ユニットスタッフ: ※連絡先は( )内の*を@ims.ac.jpに置き換えてご使用ください。
ユニット長:岩橋建輔(iwahashi*)主任技師:岩橋建輔(iwahashi*)主任技術員:内藤茂樹(snaito*)神谷基司(mkamiya*)技術員:澤 昌孝(sawa*)長屋貴量(nagaya*)木下敬正(kinoshita*)鈴木和磨(ksuzuki*)金城行真(kaneshiro*)
機器センターホームページ:http://ic.ims.ac.jp/
基礎研究で利用される分析機器や寒剤、高圧ガス製造設備を管理するため物理、化学、生物、工学の幅広い分野の知識、経験を有した技術者が所属しています。
大学共同利用機関の役割を担い、所内研究者のみならず所外研究者の利用をサポートすることを通じ、多彩なニーズに応えるために先端技術、情報、動向の取得に取り組んでいます。
機器分析ユニットは、4研究施設の1つである機器センターに係わる専門的業務を担当しています。研究所内外の共同利用に資することを目的とし、新規物質開発を行う上で基盤設備となる磁気物性測定機器、化学分析機器、分光計測機器等を集中管理し、先端機器の開発と液体窒素、液体ヘリウムの寒剤供給管理を行っています。
共同利用支援
協力研究、施設利用、技術代行、技術相談といった4種類の利用方法があり、研究所員だけではなく、所外利用者に対して幅広い利用機会を提供しています。
分析機器
2つのキャンパス(明大寺、山手)に、研究を支える多くの分析機器を運用しています。技術職員は研究者に有効利用していただくため、これらの機器の管理、保守を行い、技術的相談や操作指導、依頼分析など技術的サポートを行っています。
寒剤
極低温下での実験や超伝導磁石等の装置維持に寒剤(液体窒素、液体ヘリウム)が利用されています。技術職員は、高圧ガス製造事業所の運営に携わり、寒剤製造ならび供給を通じて利用者に対して適切な寒剤運用、管理を行っています。
ユニットスタッフ: ※連絡先は( )内の*を@ims.ac.jpに置き換えてご使用ください。
ユニット長:繁政英治(sigemasa*)主任技師:高山敬史 (takayama*)主任技術員:藤原基靖(fujiwara*)上田 正 (ueda*)浅田瑞枝(asada*)技術員:岡野芳則(okano*) 賣市幹大(uruichi*)宮島瑞樹(miyajima*)長尾春代(haruyonagao*)平野佳穂(hirano*)
ユニットスタッフ: ※連絡先は( )内の*を@ims.ac.jpに置き換えてご使用ください。
施設担当:内山功一(uchiyama*)
広報担当:原田美幸(harada*)
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