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分子科学研究領域

分子科学研究所では、分子科学の広範な研究分野をカバーするため、理論・計算分子科学、光分子科学、物質分子科学、生命・錯体分子科学の4つの研究領域を設定し、生物に代表されるような「分子が創るシステム」の理解と創製を目的として2013年に新たに創設した協奏分子システム研究センターと密接に連携しつつ、分子科学の新たな地平を切り拓く先端的研究を進めています。

理論・計算分子科学研究領域 見えない複雑な分子を描き出す
分子ならびに分子集合体の振る舞いは、量子力学や統計力学という基本的な物理法則に則っています。理論・計算分子科学分野では、このような基本原理に基づいて理論・概念を構築し、さらに、高性能のコンピュータを利用して大規模な計算を行うことにより、実際に観測される様々な現象を分子レベルで解き明かし、その上で新規な物性や機能の予測・提案を行っています。また、次世代スーパーコンピュータの利用研究に関する幾つかの国家プロジェクトに中核機関として参加し、生体分子やナノ構造体などの複雑系や複合系における物性、化学反応と機能発現メカニズムの解明に取り組んでいます。

 

光分子科学研究領域 光を造る、光で観る、光で制御する

「光」は、分子及び分子集合体の性質を実験的に詳細に調べる上で最も有用なツールの1つであり、物質材料開発から生命科学におよぶ広範な領域で光を用いた研究は不可欠となっています。光分子科学分野では、X線からテラヘルツ波までの波長領域で強力な光を発生させる大型放射光施設や、超小型ながら高出力のマイクロチップレーザーなど、高性能な光源の開発を進め、物性・機能・反応の研究に利用しています。また、超高速で進行する分子構造変化の計測、ナノサイズ物質を直接観測できる光学顕微鏡の開発、物質の量子性に立脚した分子運動や反応の精密制御など、光を活用した先端的な研究を推進し、広範な分野における基盤を提供しています。

 

物質分子科学研究領域 物質創成、物質制御、新しい観測手法の開発

有用な化合物のみを作り出すことや新規な機能を有する物質を創製するには、分子及び分子集合体の精密な制御が不可欠です。物質分子科学分野では、原子レベルの精度で様々な化合物を作り出す技術の開発や、分子集合体をデザイン通りに構築する方法論の開拓を進めています。これによって、ナノスケールの世界でこれまでに知られていない化学・物理現象を見いだし、情報・通信やエネルギー変換などの分野に対して分子科学からアプローチすることを目指しています。

 

生命・錯体分子科学研究領域 生体機能を実現し、無駄のない化学反応を実現する

生物が示す多彩な生体機能にも、分子の働きが深く関与しています。生命・錯体分子科学分野では、核磁気共鳴(NMR)を始めとする各種分光計測や熱的測定法などの分子科学的な方法論を駆使し、さらに遺伝子操作実験などの分子生物学的手法も取り入れて、生体中で重要な役割を果たしているタンパク質の構造と機能を研究しています。また、生体分子の機能に学びつつ、光エネルギーを高効率で化学エネルギーに変換する技術の確立、余分な廃棄物を生み出さない新規な有機合成法の開拓などに取り組んでいます。

 

協奏分子システム研究センター
「分子」と「分子システム」をつなぐロジックを解析し、斬新な分子システムを創成する
協奏分子システム研究センターでは、「分子それぞれの性質が高次構造を持つ分子システムの卓越した機能発現にどう結びつくのか」という学問横断的な重要課題に取り組んでいます。生命システムを手本に「個」と「集団」を結ぶ階層間ロジックを学び、分子システムがエネルギー・情報を協奏的に交換することによって物質変換・エネルギー変換・生命的活動などの諸機能を発現する原理を解明します。「柔軟かつ堅牢で卓越した機能をもつ分子システム」創成の拠点として共同利用・共同研究を推進し、学問や社会へ貢献することを目的としています。