実験装置




SNOMと光学系の紹介(2) 自作機SNOM

 本研究グループの目指す、局所領域のダイナミクス研究は、像観察後に興味ある領域に正確にプローブを位置づける必要があります。 そのため、ステージを初めとするシステム全体に高い位置再現性と安定性を必要とします。 従来型のの開ループ型ピエゾステージは、ピエゾ素子のヒステリシスやクリーピング現象 のため高い位置再現性を達成する事ができないという問題がありました。本システムは、これらの問題を解決するため、閉ループ型3軸ステージを用いています。また、外乱振動によるプローブ-試料間距離のふらつきやプローブ先端の損傷を最小限にするため、 システム全体を空気バネ除振台上に設置しています。こうする事で、低周波(<2 Hz) 以外の振動を除去しています。
 プローブ-試料間距離は、光学的手法によるShear Forceフィードバックにより一定に保ちます。z方向のノイズは、0.1-2 nm程度です。
 主に使っている開口型プローブは、化学エッチングにより先鋭化した光ファイバーに金コートを施したものです。 開口径は、50-500 nmで、100 nmの開口で約0.1%のスループットを持ちます。近接場光学像測定時のプローブ先端の振幅は、約1.5-15 nmです。
 本装置は、イルミネーションコレクションイルミネーション-コレクションの三つの 測定モードに対応可能です。また、分光器-CCDの組み合わせでスペクトル測定もできます。微弱光の測定にも対応することができます。光学フィルターと光電子増倍管やSiアバランシェダイオードを組み合わせた高感度光子計数測定ができます。ダイナミクス研究のための時間分解能 は、チタン-サファイアレーザーを光源としたポンプ-プローブ法で、100 fs、また、時間相関光子係数法で、300 ps程度が達成できます。後者の時間分解能は、検出器の応答時間で決まっています。

以下にこの自作機の仕様を示します。
ストローク 100 mm X 100 mm X 20 mm
位置分解能 < 1 nm
位置再現性 < 1 nm
光学分解能 50 - 500 nm(プローブ開口径程度)
時間分解能 約100 fs