トポグラフ測定のしくみ




 SNOMで高分解能の光学像を得るためには、プローブを試料の近接場領域に近づけ、プローブ-試料間距離を一定に保つ必要があります。トンネル電流を用いた距離制御を用いる事も可能ですが、 対象物が、伝導性でなければならないなどの制約を受けます。最も多く用いられている方法が、絶縁体でも位置制御可能なBetzigらにより導入されたShear-Force法です。

Shear-Force法では、 プローブをその機械共振周波数で横方向に励振し、その振幅が、試料表面近傍で減衰する現象を用いて、距離制御をします。プローブが試料表面近傍に近づいた時、プローブ-試料間に働く力をShear-Forceと呼びます。一般に、Shear-Forceが観察されるのは、表面から数十nm程度の領域ですので、プローブを十分試料近傍に近づけることができます。 励振されるプローブの振幅は、1-100 nm程度ですが、横方向のひずみを最小限にするため 振幅をできる限り小さくして光学像の歪みをなくします。プローブの振幅は、いくつかの方法で、モニターする事ができます。また、このモニター信号は、イメージングを行う時のプローブ-試料間の距離を一定に保つ フィードバック信号となります。したがって、フィードバックをかけた操作量をマッピングすることで、同時に表面凹凸像(トポグラフ)を得る事ができます。Shear-Forceのオリジンについては、今なお未解明な部分もありますが、その有力なものとして以下のようなものが報告されています。

などが有力な原因として考えられています。しかしながら、実際には、 実験条件や測定試料に依存すると考えられるので原因を一因できないと考えられます。プローブの振幅は、いくつかの方法で、モニターする事ができますが、よく用いられるのは、 レーザー光をプローブに照射しその反射光を分割ダイオードで検出する光学的手法(上図)と、tuning-fork(音叉)を用いる方法です。